DTM
Round 4 Norisring

DTM第4戦、ノリスリンク。
マルコ・ウィットマン、6年間待ち望んだ勝利。

シリーズを見据える者、この一戦に賭ける者。交錯するさまざまな思い。

ニュルンベルクの公道を利用したコースで争われる、第4戦ノリスリンク。このレースは、シリーズ唯一の市街地レースという以外にも特別な意味を持つ。それは、ニュルンベルクの南方160kmに位置するミュンヘンに本拠地を構えるBMWにとっての「ホーム・レース」。前戦ハンガロリンクを終えてドライバーズ・ランキングの首位に返り咲いたティモ・グロックは、シリーズを牽引する形でこの特別な一戦に臨む。
もうひとり、特別な思いを持ってレースに臨む者がいる。マルコ・ウィットマン。ニュルンベルクの隣町・フュルトで生まれ育った彼にとって、このラウンドは真の意味での「ホーム・レース」だ。しかしDTMに参戦してからの5年間、チャンピオンとなった2014年、2016年のシーズンでさえ、ウィットマンはこのコースで1度として勝利を手にしていない。戴冠してなお、地元に錦を飾れぬ、悔しさともどかしさ。その思いを今こそ晴らすべく、ウィットマンは6年目のノリスリンクに挑む。

レース1

近くて遠いポールの座。フィリップ・エング、1000分の1秒に泣く。

金曜日のフリー走行はレイン・セッションとなったが、雨はその日のうちに上がり、6月23日(土)の予選はドライ・コンディションのなかで行われた。ノリスリンクは全長2.3km、1周50秒にも満たないショート・コースゆえ、ひとつのミスが命取りとなる。
セッション開始から5分半、ティモ・グロックが48秒385のタイムを記録しトップに立つと、その直後にジョエル・エリクソンが48秒317とタイムを更新。ブルーノ・スペングラーも48秒330を出し、上位をBMW勢が占める。さらに各車がタイム・アップを図るなか、決定的なタイムを叩き出したのはルーキー、フィリップ・エングだった。セッション開始から7分が経過しようとする頃に、その時点で唯一の47秒台となる47秒844を記録。第2戦ラウジッツリンク以来2度目となるポール・ポジション獲得の機運が高まる。
しかし、そのエングの前に立ちはだかったのがメルセデス勢だった。アウディのマシンがクラッシュしたことによる赤旗中断を挟み、再開されたセッション終盤。残り2分35秒のところで、エドアルド・モルタラ(No.48 SILBERPFEIL Energy Mercedes-AMG Motorsport)がトップ・タイムを更新。47秒843。エングのタイムとの差、わずかに1000分の1秒。セッション終了までこのタイムが更新されることはなく、2度目のポール・ポジションはすんでのところで幻となってしまった。
3番手には地元の声援を受けたマルコ・ウィットマンが入った。グロックとスペングラーは8・9番手、エリクソンとアウグスト・ファルフスは11・12番手でレース1の予選を終えた。

長き闘いの果てに。マルコ・ウィットマン、ノリスリンクで初の表彰台。

午後、レース1は決勝を迎えた。天気は晴れ。1周のウォームアップ・ランののち、スタートが切られた。3番グリッドのウィットマンは好スタートを決め、ヘアピンの立ち上がりで2番手スタートのフィリップ・エングに並び、パスしてゆく。かわされたエングはその直後にピット・インし、早々にピット・ストップを消化する作戦に出た。7周目には2位をキープしていたウィットマンもピットへと向かい、エングの前でコースへ復帰することに成功する。今回のレースは早めのピット・インを選択するマシンが多く、レース開始10分足らずで過半数のマシンがピット・ストップを消化した。
14周目、実質3位を走行していたウィットマンが、前を走るゲイリー・パフェット(No.2 Mercedes-AMG Motorsport PETRONAS)を攻略しポジションを上げる。直後を走行していたエングも、ウィットマンに続けとパフェットに対し果敢にアタックするが、前へは出られず。逆にタイヤを使い過ぎてしまったのか、徐々に後ろのマシンに攻め立てられてしまう。懸命のドライブで後続を抑えるエング。彼を先頭にマシンが数珠繋ぎとなり、この集団はレース終盤まで接近した状態でバトルを続けることとなった。エングは1台に先行を許したものの、それ以外のマシンを見事抑えきり5位入賞という結果を得た。
一方の先頭集団では、ウィットマンとパフェットのバトルがテール・トゥ・ノーズの状態で長く続いていた。しかし43周目のヘアピンで、プレッシャーをかけ続けたパフェットが前に出る。ウィットマンは必死に食い下がるも、パフェットのペースの方が良く再度の攻略はならず。レースはそのままフィニッシュし、ウィットマンは地元ノリスリンクで初となる、そしてハンガロリンクから2レース連続となる表彰台を獲得した。集団のなかで上手くポジションを上げたスペングラーが6位に入り、9位にはエリクソン。金曜日のフリー走行で喫したクラッシュがマシンのバランスに影響したのか、いまいち調子の上がらなかったグロックは10位となり、1ポイントの獲得にとどまった。

ステファン・ラインホルト(BMW Team RMG チーム代表)
「やっと、故郷のレースでマルコをポディウムに立たせることができました。今回のレースにおける重要な目標のうちのひとつでしたし、またチームとしても昨年より良い結果を得たいと願っていたので、その両方を達成することができました。明日は、さらにもう一歩前へ進みたいと思っています。」

マルコ・ウィットマン(No.11 BMW Driving Experience M4 DTM)
「故郷のレースで表彰台にのぼることができて、本当に素晴らしい気分だよ。スタートは上手くいって、フィリップをパスすることができた。その後、トップを走るエドアルド(・モルタラ)に挑んだけど、トータルではエドアルドの方がわずかに速かったかな。でも、僕の地元であるノリスリンクのファンと家族の前で、ポディウムに立てたことは格別だよ。」

フィリップ・エング(No.25 SAMSUNG BMW M4 DTM)
「レース全体としては本当に満足しているよ。ポディウムにのぼりたかったのは確かだけどね。明日はレース・スピードをもっと改善しなければいけないと思う。でも、今日はフロント・ローからスタートして、多くのポイントも挙げた。流れとしてはかなり良いんじゃないかな。」

レース1 決勝結果

3. マルコ・ウィットマン(ドイツ)No.11 / BMW Team RMG
5. フィリップ・エング(オーストリア)No.25 / BMW Team RMR
6. ブルーノ・スペングラー(カナダ)No.7 / BMW Team RBM
9. ジョエル・エリクソン(スウェーデン)No.47 / BMW Team RBM
10. ティモ・グロック(ドイツ)No.16 / BMW Team RMR
14. アウグスト・ファルフス(ブラジル)No.15 / BMW Team RMG

レース2

BMW M4 DTMは速さを出し切れず。ライバルの先行を許す結果に。

レース2予選。6月24日(日)も天気は乱れず、ドライ・コンディションでスタートが切られた。20分間のセッション序盤はBMW、アウディ、メルセデス3メーカーのタイムが拮抗。しかしそのなかから、徐々にメルセデス勢が速さを見せる。10分が経過する頃、トップ3はメルセデスが占め、そこにブルーノ・スペングラー、マルコ・ウィットマンらのBMW勢が喰らいついていく展開に。各車は一旦ピットへと退がった後、残り7分で再びコースへ。セッションが残り2分となったところで、トップ5はラスト・アタックでタイムをさらに伸ばしたメルセデス勢が独占。さらにアウディのマシンのスピンにより、予選は赤旗中断となってしまう。その後3分のショート・セッションが改めて設定され再開されるも順位の大きな変動はなく、レース2の予選は終了。BMW M4 DTMでは6位のスペングラーが最上位となった。以下7〜10位にウィットマン、ジョエル・エリクソン、ティモ・グロック、フィリップ・エングと続き、前日から速さを見せられず苦しんでいるアウグスト・ファルフスは14位に終わった。

前へ、前へ、前へ。求め続けた地元での勝利に、ウィットマン、歓喜の雄叫び。

予選から続く曇り空の下、レース2決勝のスタート時刻が近づいてくる。18台のマシンがグリッドに収まり、シグナルがブラック・アウトすると同時に、55分間の戦いが幕を開けた。ブルーノ・スペングラー、マルコ・ウィットマン、ジョエル・エリクソンの3台のBMW M4 DTMが鍔迫り合いを演じながら、混沌としたファースト・ラップを駆けぬけていく。ホーム・ストレートへ戻ってくると、エリクソンは1周目でピット・ストップを消化する作戦に出た。翌周にはティモ・グロックがピットへ。レース2もレース1同様、早めのピット・インを選択するマシンが多く出る展開となった。一方、ウィットマンとスペングラーは、前を走るメルセデス勢の牙城を崩さんと果敢に攻めていく。11周目、ウィットマンはピットへ。6.3秒で作業を終え、ピット・タイムの差で2台のメルセデスの前へ出ることに成功。ピット・ストップを消化したマシンのなかでは最も前でコースへと復帰した。後方ではドライバーズ・ランキングを争うグロックとゲイリー・パフェットの直接対決が勃発。2台が第1戦ホッケンハイムの死闘を再現するかのようなサイド・バイ・サイドの激しいバトルを狭い市街地コースで演じるなか、14周目にはスペングラーがピット・イン。ウィットマンらの前へ出るも、ペースの良いウィットマンはスペングラーをパス。後続とのリードを広げてゆく。 20周目、ピットを終え先行する2台のメルセデスにウィットマンが追いつき、実質のトップ3が接近する。ウィットマンは1台をパスし実質の2位へ。息つく暇なく、前を走るダニエル・ジュンカデラ(No.23 Mercedes-AMG Motorsport REMUS)へと襲い掛かる。しかし、自身の初優勝が懸かるジュンカデラも簡単には引かず。ウィットマンと一進一退のバトルを重ねるうち、ジュンカデラのマシンを先頭に11台が連なる集団が形成され、レースの展開は混沌さを増してゆく。何度もオーバー・テイクを仕掛けていたウィットマンは24周目、ヘアピン・コーナーでジュンカデラを捻じ伏せ前へ。実質のトップへと立つと、後続との差をコントロールしながら周回を重ね、そのまま68周目まで走りきりフィニッシュ。ホーム・レースで初の優勝を遂げたウィットマンは、ゴールの瞬間、無線で歓びを爆発させた。 このラウンドで終始好走を見せたスペングラーは4位に入り、久々となる2レース連続のシングル・フィニッシュを達成。20周以上にわたりパフェットとの肉弾戦を繰り広げたグロックは、最終的には競り勝つも全体では10位に留まった。アウグスト・ファルフスは他車との接触によるスピンなどの不運もあり、17位に終わった。

イェンス・マルクヮルト(BMW Motorsport ディレクター)
「昨年歴史的な勝利を収めた同じコースで、今回も素晴らしい成功を収められたという事実は、BMWにとって特別なことです。マルコはもちろん、観客とチームの感情の高鳴りを目の当たりして、本当に胸が熱くなりました。これは我々にとってDTMにおける80回目の勝利であり、ノリスリンクで8度目となる勝利です。マルコとBMW Team RMGの極めて優れたパフォーマンスに、心からの祝福を贈ります。」

マルコ・ウィットマン(No.11 BMW Driving Experience M4 DTM)
「まるで、まだレースを戦っているように昂奮しているよ。故郷のレースで勝つことができるなんて、そうそうあるものじゃないからね。長い間ずっと挑戦し続けて、今日やっと、初めて達成することができたんだ。それも、予選7番手から優勝できるなんて! まったく思ってもみなかったよ。人生最高のレースを走れたと思う。チームのみんなの働きも完璧だった。ノリスリンクから2つのトロフィーを持ち帰ることができるなんて、こんなに嬉しいことはないよ。」

ブルーノ・スペングラー(No.7 BMW Bank BMW M4 DTM)
「バトルが多くて、面白いレースだったよ。6番手からスタートして4位に上がり、結果としてノリスリンクでの両方のレースでポイントを獲得できたのには満足している。マルコが地元のファンや家族の前で勝利を成し遂げたのは、本当に素晴らしかったね。BMWにとってもポジティブな週末だったと思うよ。」

レース2 決勝結果

1. マルコ・ウィットマン(ドイツ)No.11 / BMW Team RMG
4. ブルーノ・スペングラー(カナダ)No.7 / BMW Team RBM
10. ティモ・グロック(ドイツ)No.16 / BMW Team RMR
11. フィリップ・エング(オーストリア)No.25 / BMW Team RMR
12. ジョエル・エリクソン(スウェーデン)No.47 / BMW Team RBM
17. アウグスト・ファルフス(ブラジル)No.15 / BMW Team RMG

実力者の台頭が、戦いをますます激しくする。シーズンは折り返しへ。

地元で初の表彰台。地元で初の優勝。この週末はまるで、マルコ・ウィットマンのためにあるようだった。ウィットマンはドライバーズ・ランキングでも92ポイントで3位に浮上。ティモ・グロックは同ポイントながらランキング4位へと後退した。しかし、2人ともトップとはわずかに7ポイント差。チャンピオン争いはいよいよ混沌とした様相を呈してきた。激化するシリーズ。次なる第5戦はふたたびドイツを飛び出し、オランダ、ザントフォールトにて、7月14日(土)・15日(日)に開催される。