Blancpain GT Series Asia
Round 7&8 FUJI SPEEDWAY

Blancpain GTシリーズ・アジア、富士ラウンド。
完全勝利。BMW M4 GT4がすべてのセッションを制覇。

猛烈な暑さ。イレギュラーなコーナー。すべては、勢いが解決した。

「我々は勢いに乗ると怖いチームです。」No.81のドライバー、木下隆之は、前戦鈴鹿で勝ちきれなかったレース2の終了後にこうコメントを残した。3週間のインターバルを置いて迎えた、日本で最後の戦いとなる富士ラウンド。BMW Team Studieは、怖ろしいほどの勢いに乗っていた。
レース・ウィーク直前の7月19日(木)。連日の酷暑の影響か、ダンロップ・コーナーの路面舗装が剥がれるという異常事態が発生。安全性を考慮し、今回の富士ラウンドは急遽コーナーをショートカットするレイアウトでレースが行われることとなった。通常の富士スピードウェイのレイアウトに習熟したBMW Team Studieのドライバー陣でも、レーシング・スピードで走ったことのないコーナーが出現することとなり、他のチームに対するアドバンテージはやや削られる格好となった。さらに臨時レイアウトの走行機会も含めたレース・シミュレーションのチャンスは、20日(金)に45分間のフリー走行が2本、翌21日(土)に30分間の公式練習が1本のみ。時間的にもわずかしかない。しかし、そんないくつもの逆境を軽々と跳ね返すかのように、No.81のBMW M4 GT4は公式練習までのすべてのセッションで他のマシンを寄せ付けず、クラス・トップのタイムを記録し続けた。No.82も負けじと各セッションでクラス上位のタイムを記録。木下の言葉を裏付けるかのように、完全に「勢い」に乗ったチームは、誰もが自信に満ちた表情で、一抹の不安もなく公式予選を迎えた。

公式予選

向かうところ、敵なし。別次元のラップを刻み、予選を支配する。

11時25分、快晴の空の下、Q1がスタート。No.82を担当する浦田健選手はコース・オープンとともに真っ先に出ていく。1周目からアタックを開始すると、翌周には1分47秒854を記録。クラス暫定トップに立つ。一方のNo.81は砂子塾長選手が担当。砂子選手も浦田選手に続いてコース・インしていくが、すぐにはアタックせず他車との間合いを見ながらタイミングを計る。3周目、アタックを開始した砂子選手はNo.82のタイムを上回ると、さらに4周目にはタイムを更新し、1分47秒057を記録。クラス3番手のマシンに1秒以上の差をつけ、2台のBMW M4 GT4が頭ひとつ抜け出す形となった。その後もNo.81・No.82はともにアタックを続けるが、ベスト・タイムの更新はならず。とはいえ、他車に大差をつけての1番手と2番手。幸先よく、まずはレース1のフロント・ローを独占した。
間をおかずにQ2が始まる。ドライバーを乗り換え、No.81は木下隆之選手、No.82はマックス・チン選手がアタックを担当する。Q1と同じように、No.82のマックス選手は予選開始直後にコース・イン。一方のNo.81木下選手は1分ほどのウェイティングの後、ピットを後にした。No.82のアタックは3周目から。1分48秒899を記録した後、マックス選手はさらにコースを攻め、最終的には1分48秒482でクラス暫定3番手となった。一方のNo.81は計測1周目にしてクラス暫定トップに躍り出ると、3周目には1分46秒870という驚異的なラップを叩き出す。ポール・ポジションを確信したチームは、アタックを継続しようとしていた木下選手にピット・インをコール。そのままQ2は終了し、まるでそうなることが当然であったかのように、No.81は2レース連続のポール・ポジションを奪ってみせた。さらに予選終了後の再車検で暫定2番手のタイムを出したマシンに失格の裁定がくだり、タイム抹消。No.82が2番手へと繰り上がり、予想外ながらレース2も2台のBMW M4 GT4がフロント・ローに並ぶこととなった。

レース1

傑出したペースでポール・トゥ・ウィン。木下/砂子組、今季2勝目。

予選からの流れを保ったまま、レース1の決勝を迎えたBMW Team Studie。No.81のスタートは砂子選手、No.82は浦田選手が担当。GT4クラスの最前列でマシンに乗り込み、スタートの時を待つ。15時10分、レース・スタート。No.81砂子選手はスタート直後の混乱を上手くかわし、クラス・トップを快走する。一方のNo.82浦田選手は一時4位まで順位を落としてしまうが、すぐにリカバー。5周目には2位へと再浮上し、盤石の1-2体制でレースの前半を支配していく。このままピット・タイミングに繋げるかと思い始めた10周目、No.82にスタート違反の裁定がくだり、ドライブスルー・ペナルティが課されてしまった。浦田選手はこの裁定に従い、翌11周目にペナルティを消化。5位でコースへと復帰した。14周目にピットがオープン。チームはまずNo.81にピット・インをコールし、ステアリングは木下選手へと引き継がれる。No.82も続いてピットへと向かい、浦田選手からマックス選手へとドライバーをチェンジした。コースへ復帰したNo.81は、前半のスティントで砂子選手が築いた後続のマシンとのギャップを、1周ごとにさらに2〜3秒のペースで広げていく。最終的には2位のマシンに1ラップの大差をつけ、独走で今季2勝目のチェッカー・フラッグを受けた。No.82もマックス選手の好走でポジションをキープ。5位でレース1を終えた。

木下隆之選手コメント:
「金曜日からすべてのセクションでトップ・タイムを記録し、予選を制し、決勝も完璧な勝利でした。こんな完勝は何年ぶりだろう! こんな猛暑のなか、まったくマシンの劣化がなかったことに驚かされました。普通はタイヤやエンジンのパワー・ダウンがあるのに、それがないなんて。それはマシンが優秀だったことと、チームが完璧な仕事をしたことの成果だと思います。勝利とは、勝ちたいと思う本質的な気持ちの強さなのだと思います。つまり今日は、僕らのハートが勝利したのです!」

マックス・チン選手コメント:
「今日は応援ありがとうございました。82号車は望んでいた順位には届かず、5位でのフィニッシュとなりました。81号車と1-2フィニッシュをできれば良かったのですが、ドライブスルー・ペナルティの影響が大きく、非常に残念です。しかし、明日も2番グリッドからのスタート。ポディウムのチャンスは十分にあると思います。明日こそダブル・ポディウムを狙いたいです。」

鈴木康昭監督コメント:
「81号車が見事なポール・トゥ・ウィンを果たしました。路面温度が非常に高くタイヤのコントロールが非常に難しいなかで、前半を担当した砂子選手がタイヤを労って走り、木下選手にパスしたことで、優勝へと繋がったと思います。非常に印象的なレースでした。逆に82号車にはツキがありませんでした。とはいえ、今日のレースでこのサーキットとBMW M4 GT4の相性の良さが証明されました。明日はさらに良い結果を皆さんにお届けできるのではと思っています。」

レース2

スペシャル・ゲストの登場。唐突な試練。慌ただしい日曜の幕開け。

日曜日、心なしかガレージが少し狭いように感じられた。その感覚は間違ってはいない。ガレージにはBMW M4 GT4ではなく、昨年までSUPER GTを戦っていたBMW M6 GT3とヨルグ・ミューラー選手の姿があった。今回、たまたまプライベートで来日していたヨルグ選手がチームに帯同するにあたり、Blancpain GTシリーズ・アジアの主催者であるSROからのオファーがあり、レース2のプレ・イベントとして、特別にヨルグ選手のドライブによるBMW M6 GT3のレーシング・タクシーが実現することとなったのだ。懐かしい顔、懐かしいマシン、懐かしいエキゾースト・ノート。誰もがこの機会をエンジョイしていた。
しかし、遡ること数時間。この日の朝、チーム・スタッフの表情は厳しさに満ちていた。昨日ポール・トゥ・ウィンを成し遂げたNo.81のエンジンが突然始動しなくなったのだ。確定的な原因は突き止められないが、精査すると燃料ポンプ周辺に要因が潜んでいるようだった。しかし代替パーツは欠品中で手元にはない。このピンチを切り抜けるため、チームはドイツ本国とも連絡を取り、市販車からのパーツ移植を決断する。酷暑のなか、狭小な空間での難作業。そして時間も十分にはない状況のなかで、メカニックは全身全霊で作業にあたる。出走のためのピット・オープンわずか10分前。No.81は眠りから覚めた獅子のように、再び高らかに咆哮した。そして、ピット内に拍手が鳴り響いた。チームの誰もが胸を撫でおろした瞬間だった。

万全のレース運びで連勝。そしてふたたびのダブル・ポディウム。

昨年のSUPER GT富士ラウンドを彷彿とさせる、BMW M6 GT3を駆ってのヨルグ選手のドライブが終わると、レース2決勝のフォーメーション・ラップがスタート。昨日に引き続きGT4クラスのポール・ポジションからスタートするNo.81には木下選手が登場。燃料ポンプ交換の影響もなく、続く2番グリッドのNo.82マックス選手とともに、順調にマシンをウォームアップしてゆく。隊列がホーム・ストレートへと戻り、60分間のレースがスタート。今回は混乱に飲み込まれることなく、No.81・No.82は1-2体制で1コーナーを駆けぬけてゆく。後方に迫るライバルもマックス選手が気迫の走りで抑え込み、レース序盤を2台のBMW M4 GT4がリードする格好となった。
3周目、最終コーナーを立ち上がろうとしていたNo.82は左リアから後方のマシンに接触され、姿勢を崩しながらスピン・アウト。自力でコースへは復帰できたものの、7位まで大きく順位を下げてしまった。一方のNo.81木下選手のペースは堅調そのもの。後続を寄せ付けない走りで周回を重ねると、ルーティンのピットに入り、砂子選手に交代。昨日の優勝により15秒のサクセス・ペナルティが課されたが、それを上回るリードを築いていたNo.81はクラス・トップの位置を守ったままコースへと復帰した。No.82もアクシデント後にマックス選手がポジションをリカバーし6位でピット・イン。後半のスティントを浦田選手に託した。ピット作業で1台をかわし5位でコースへと戻ったNo.82は、ここから怒涛のオーバー・テイクを重ねていく。浦田選手は前車を1周あたり2〜3秒上回る素晴らしい走りでコースを攻め続け、残り4周の時点で3位のマシンをとらえると、一気呵成にオーバー・テイク。表彰台圏内の3位までポジションを戻すことに成功した。No.81の砂子選手はピット・アウト後も順調すぎるほどの一人旅。後ろを脅かされることもなくノン・トラブルで走りきり、2連勝となる3勝目、そしてNo.82とともに2度目のダブル・ポディウムをBMW Team Studieにもたらした。

砂子塾長選手コメント:
「昨日と今日の連勝! クルマの状態を含めすべてが完璧で、文句の付けようがありません。他のチームのトラブルもあったおかげで、イージーなレースでした。シリーズ・チャンピオンを狙えるところに来ていますので、残り4戦をすべて勝つつもりで、チーム一丸となって戦っていきたいと思います。ありがとうございます。」

浦田健選手コメント:
「昨日はアンラッキーな1日でしたが、今日は3位を獲得することができました。見事なスタートで81号車と1-2体制を維持していたところで、後ろから押されてスピン・アウト。一瞬もうダメかと思いましたが、マックス選手が集中力を切らさずに走りきってくれたことに勇気づけられ、後半に臨みました。スピンの影響で酷いバイブレーションも出ていましたが、ラップ・タイムは良かったので前のマシンをとらえ、ダブル・ポディウムを実現することができました。本当に良いレースだったと思います。次の上海では1位を狙えるように、マックス選手と頑張っていきます。」

鈴木康昭監督コメント:
「10年以上レースに参戦していますが、今週末は10年に1度あるかないかのレベルで、すべてがうまく噛み合っていました。レースへの参戦は99%が大変なこと、残りの1%だけが歓びだと思っていますが、今日はその1%を10年分使ってしまったくらい良いレースでした。次戦からはいよいよ中国でのラウンド。BMW Team Studieにとっては初めての地です。情報をしっかりと収集して、シリーズ・チャンピオンを確実に手に入れたいと思います。引き続き、応援よろしくお願いいたします。」

圧巻・圧倒・圧勝、パーフェクトな週末。そして、戦いは未知なる大陸へ。

富士ラウンドにおけるすべてのセッションで、タイミング・モニターのトップを他のマシンに譲ることがなかったBMW M4 GT4。完全制圧と言っても良いその戦果は、まさにBMW Team Studieが「勢いに乗ると怖いチーム」であることを内外に知らしめた。シリーズは再度海を渡り、中国へと足を向ける。これまでのマレーシア:セパン、タイ:チャーンの両サーキットは、かつてSUPER GTでも戦ったことのある、勝手知ったる場所であった。しかし次戦の上海、そして最終戦の寧波は、チームにとって未踏の地。アウェーとなる戦いでいかなるパフォーマンスを発揮するのか、富士から続く「勢い」に大いに期待したい。2カ月のインターバルを置いて、上海ラウンドは9月22日(土)・23日(日・祝)に行われる。

BMW Team Studie Official Club開設。

ファンが待ち望んだ公式クラブの開設。入会するとチームのイベントに参加できたり、様々な限定品の特典を手に入れることができます。現在、クラブでは会員を募集中。詳しくは下記URLへアクセスしてください。

BMW Team Studie Official Clubはこちらから

http://teamstudie.jp/official-club/
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