DTM
Round 8 Nürburgring

DTM第8戦、ニュルブルクリンク。
BMW、DTM復帰100レース目をポディウムで祝う。

6年間の昂奮と感動を乗せて。100回目のドラマに向けた祝祭に沸く。

2012年4月29日。それは、BMW Motorsportが6台のBMW M3 DTMとともに、19年ぶりにDTMへと復帰した記念すべき日だった。あれから6年。ニュルブルクリンクで、BMWはDTM復帰から100レース目を迎える。それは同時に、2012年の開幕戦から時をともにしてきた2人のドライバー、ブルーノ・スペングラーとアウグスト・ファルフスにとっても節目となる、特別な週末である。BMWのマイルストーン・イベントにふさわしく、今回のニュルブルクリンク・ラウンドには、BMW Mの新たなラインアップとして開発の進むBMW X3 MとBMW X4 Mのプロトタイプが初めて公に姿を現し、グランプリ・コースを駆けぬけた。そして日曜日の午前中には、2016年までBMWでDTMを戦い、現在はBMW M8 GTEを駆ってFIA世界耐久選手権(WEC)を戦うマーティン・トムチェクの手により、ドイチェ・ポスト・カラーをまとったBMW M4 DTMのレース・タクシーが、「グリーン・ヘル」の異名を取るニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)を初めて走った。1周20kmを超える長大なコースに配されたコーナーの数は172。起伏に富んだレイアウトとバンピーな路面も相まって、世界最長・最難関のコースと称されるノルドシュライフェを走りきったトムチェクは、その感想を以下のように語っている。

マーティン・トムチェク(BMWワークス・ドライバー)
「最新鋭のDTMマシンでノルドシュライフェを走ることは、特別な経験だ。僕はさまざまなマシンでこの『グリーン・ヘル』を走っているけど、それはこのコースのためにセッティングされたマシンたちだった。そうではない、平坦な路面にアジャストされたBMW M4 DTMをここで走らせることは大きなチャレンジだったと言えるだろう。でもDTMマシンが誇るエアロダイナミクスのおかげで、かなり速いペースでラップを刻めたのには驚いたね。DTMマシンの進化とさらなる可能性を感じることができたよ。」

レース1

大ベテランに復活の兆し。0.078秒差で3番グリッドを獲得。

9月8日(土)、快晴のニュルブルクリンクに、DTMマシンのエキゾースト・ノートが響き渡る。BMWにとって復帰99レース目となるレース1の予選が始まった。開始7分、金曜日のフリー走行でトップ・タイムをマークしたブルーノ・スペングラーが好調を維持し、1分22秒707を記録、暫定トップに躍り出る。しかしその直後に、フィリップ・エングがスペングラーのタイムを0秒317更新する。そのまま各マシンは一旦ピットへと下がり、予選はエングがトップのまま後半へと向かう。残り6分を過ぎるころに続々とマシンがコースへと戻り、アタックが再開。残り2分を過ぎても大勢は揺るがず、このままエングがポール・ポジションを手に入れるかと思われたが、最後の1分で他のマシンが次々と渾身のアタックを決め、逆にタイム・アップを果たせなかったエングは6番手という結果で予選を終えることになってしまった。残り30秒。スペングラーが1分22秒281を叩き出し再度トップへ。今度こそポールを決めたかと思ったが、さらに2台がスペングラーのタイムを凌駕し、結果は0秒078差の3番手に終わる。しかしスペングラーとしては久々に、決勝レースに向けて確かな手応えを感じられる予選となった。5番手にマルコ・ウィットマン、10番手にアウグスト・ファルフス。ティモ・グロックとジョエル・エリクソンは12・13番手でレース1の予選を終えた。

時に熱く、したたかに。スペングラー、クレバーな走りで2位表彰台を獲得。

午後1時30分。これ以上ないレース日和のもと、レース1の決勝はスタートを切った。スペングラーは好スタートを決め、最初の1コーナーで2位をうかがうがオーバー・テイクには至らず。後方で混乱があったものの、6台のBMW M4 DTMは順調にオープニング・ラップを駆けぬけた。5位につけるウィットマンは、スタートからペースの上がらない4位のマシンを抜きあぐね、6位のエングはその後ろからジャンプ・アップを虎視眈々と狙う。それぞれの思惑が交錯し始めた12周目の3コーナーで、アクシデントが起こってしまう。11周目の終わりにウィットマンがピットへと入ったことにより4位へと浮上したエングに、ドライバーズ・ランキングでトップを争うポール・ディ・レスタ(No.3 Mercedes-AMG Motorsport REMUS)と、12番グリッドから這い上がってきたグロックが襲いかかる。ディ・レスタは1コーナーでエングに並び、2コーナーで抜き去ったかに見えた。しかし次の3コーナーで再びインを突いたエングと接触、スピンを喫し上位から脱落する結果となった。エングはグロックと、その後ろから来ていたファルフスにパスされ、さらにペナルティも科せられたため、こちらも下位へ沈む結果となってしまった。
15周目、スタートから3位をキープしていたスペングラーは1コーナーでゲイリー・パフェット(No.2 Mercedes-AMG Motorsport PETRONAS)のインを突き、鮮やかにオーバー・テイク。2位へとポジションをアップする。16周目にトップを走るレネ・ラスト(No.33 Audi Sport Team Rosberg)がピット・インすると、スペングラーはプッシュを続け、19周目の終わりにピットへと向かう。だがわずかに作業に手間取ってしまい、ラストの後ろでコースへと復帰。前を追いたいところだが、逆にパフェットに迫られてしまい、一時はサイド・バイ・サイドのバトルを余儀なくされるところまで追い込まれてしまう。しかし気迫の走りで2位を死守すると、今度は徐々にパフェットを引き離し、ラストとの差を詰めてゆく。
残り3分。気がつけばグロックが3位を走るパフェットに近づいていた。ペースは明らかにグロックに分がある。ファイナル・ラップにはパフェットのすぐ背後にまで迫ったグロックだったが、最後の最後で力及ばず。わずか0秒415の差でポディウムを逃す結果となった。スペングラーも終盤、ラストに1秒差まで迫るも攻略はできず。とはいえ、BMWでの99レース目において、2017年モスクワ・ラウンド以来久々の表彰台を勝ち取った。5位のウィットマン、9位のファルフスまでが入賞。エリクソンは12位、接触によるペナルティが響いたエングは16位に終わった。このレースでスペングラーが今シーズン初の表彰台を得たことにより、BMWは6人のドライバー全員がポディウムへ立ったことになる。

イェンス・マルクヮルト(BMW Motorsport ディレクター)
「今日の結果は本当に満足できるものです。2位に入り、今年初めて表彰台に立ったブルーノにはダブルで『おめでとう』と言いたいです。彼は自分自身に、少し遅めのウィディング・ギフトを贈ることができました。レーシング・ドライバーは結婚すると失速する、という俗説を見事に打ち破りましたね。ブルーノ、本当におめでとう!」

ティモ・グロック(No.16 DEUTSCHE POST BMW M4 DTM)
「予選とは違い、レース中は良いスピードを保つことができた。それにピット・ストップが抜群で、それが決定的だったね。最後のゲイリーとの対決は少し性急になりすぎてしまった。でも、全体として結果には満足しているよ。ブルーノが久々にポディウムを得たことは、特にうれしいね。」

ブルーノ・スペングラー(No.7 BMW Bank M4 DTM)
「ポディウムに戻って来れて、とても良い気分だよ。今年は不運なこともたくさんあったけど、モータースポーツにはそんな時期もある。調子を戻すには少し時間が必要なんだ。今日、素晴らしいマシンを用意してくれたチームにとても感謝している。今日獲得したポイントはチームみんなのものだと思っているよ。それともうひとつ。(インディカー・シリーズでの重大な事故で入院している、元DTMドライバーの)ロバート・ウィケンズが、できる限り早く良くなり、復帰できることを祈っている。モータースポーツの現場に、彼がいないのは寂しいことだよ。」

レース1 決勝結果

2. ブルーノ・スペングラー(カナダ)No.7 / BMW Team RBM
4. ティモ・グロック(ドイツ)No.16 / BMW Team RMR
5. マルコ・ウィットマン(ドイツ)No.11 / BMW Team RMG
9. アウグスト・ファルフス(ブラジル)No.15 / BMW Team RMG
12. ジョエル・エリクソン(スウェーデン)No.47 / BMW Team RBM
16. フィリップ・エング(オーストリア)No.25 / BMW Team RMR

レース2

最後の最後で逆転を許したエング、無念のセカンド・ローに終わる。

天候が変化しやすいニュルブルクリンクにしては珍しく、翌9月9日(日)も引き続きの快晴。復帰100レース目の決勝に向け、6台のBMW M4 DTMは高らかにエンジン・サウンドを響かせながら、予選へと臨んだ。開始7分を過ぎる頃、予選・決勝と不本意な結果に終わった前日の分を取り返すかのように、フィリップ・エングが1分22秒159を記録しトップへと君臨。このタイムを更新する者は現れず、すべてのマシンは一旦ピットへ。ここまでの流れは、奇しくも前日の予選と同じだ。セッションが残り7分となるところで各マシンは再びコースへ。エングがトップを守りきれるのかに注目が集まる。残り5分、3分、1分、30秒…。タイムを上回る者は現れない。今度こそポール・ポジションを手中に納めるかと思われたエングだったが、その希望を打ち砕いたのが、前日の覇者、レネ・ラストと、ドライバーズ・ランキングを争うゲイリー・パフェットの2人だった。アタックの最終ラップでエングのタイムを上回るとともにセッションは終了。トップのラストとエングとの差は、わずかに1000分の19秒。昨日に引き続き、今日の予選もエングにとって厳しい結果となってしまった。続く4番手にティモ・グロック、8〜10番手にブルーノ・スペングラー、マルコ・ウィットマン、ジョエル・エリクソンと続き、アウグスト・ファルフスは13番手からのスタートとなった。

トップ10に5台が入賞。ウィットマン、9番グリッドから殊勲の表彰台。

レース2の決勝開始時刻が近づいても、天候の崩れる気配なく、むしろBMWの節目を祝うかのように、陽射しがいっそう強くなっているようだった。午後1時30分、前日と同じくオン・タイムでスタートが切られた。出遅れ後続に埋もれてしまったエングとは対照的に、好スタートを決めたグロックはパフェットと3位を争い、ホッケンハイムでの開幕戦を彷彿とさせるサイド・バイ・サイドのバトルを展開する。1周目途中で競り勝ったグロックは、さらに2位をうかがう。3周目の1コーナー、グロックは勝負を仕掛けインに飛び込むが接触。相手をスピンさせてしまい、自身も相手ともつれるようにストップ。リスタートしたものの、グロックはペナルティを科せられほぼ最後尾までポジションを落としてしまった。8周目、前を走るマシンのブレーキング・ミスを見逃さなかったスペングラーが3位へと躍進する。このまま上位は膠着状態に突入。ピットのタイミングと作業時間が勝負の分かれ目になると思われたが、この段階でBMW勢は3位のスペングラーを筆頭に、ウィットマン、エング、エリクソン、ファルフスが5〜8位に連なっていた。どのマシンにも、まだ勝利のチャンスは残されている。
グロックは接触の影響もあったのか、11周目にBMW勢で最初のピット・イン。17周目にエング、18周目にファルフス、19周目にウィットマンとエリクソンが続いた。この時点でスペングラーは全体のトップを快走。そのピット・ストップに注目が集まるなか、21周目にピットへ。問題なく作業を済ませ、実質2位でコースへと復帰するも、なかなかタイヤに熱が入らない。アウト・ラップで2台にかわされポジションを下げてしまった。入れ替わりに実質3位となったのはウィットマン。後ろについたスペングラーとともに落ち着いた走行を重ね、ポジションを堅守する。その後も波乱はなく、天候も最後まで崩れず。39周目に55分を経過し、そのままゴールを迎えた。ウィットマンが第4戦ノリスリンク以来のポディウムを獲得。4位には前日に引き続き好走を見せたスペングラーが入り、エリクソン、ファルフス、エングが6〜8位。6台中5台のBMW M4 DTMが入賞を果たした。一方、序盤の接触で下位に沈んだグロックは16位でレースを終えた。

ステファン・ラインホルト(BMW Team RMG チーム代表)
「まずは、我々のホームであるニュルブルクリンクに心からありがとうと言いたい。BMWにとって復帰100戦目となるこのレースで、ポディウムへと立てたのはとてもうれしいことです。言うまでもなく、チームのみんなやマルコには本当に感謝しています。彼の今日のレースは素晴らしいものでした。この週末は全体としてとてもハッピーでした。次のレースでも、全力を尽くして戦います。」

マルコ・ウィットマン(No.11 BMW Driving Experience M4 DTM)
「9番グリッドからのスタートだったけど、なんとかやり遂げたよ。序盤はちょっと浮き足立っていたけど、徐々に前へと行くことができた。トータルでは3位という結果に満足しているよ。クリーンなレースができたうえに、トップに肉薄する速さも見せられたからね。」

ブルーノ・スペングラー(No.7 BMW Bank M4 DTM)
「いい追い上げができた。スタートも上手くいき、クルマの調子は昨日ほど良くはなかったけど、レース中も良いペースを保つことができた。8番手から4位でフィニッシュできたことはとてもうれしいよ。昨日からの良い流れを、次のレースへもつなぎたいね。」

レース2 決勝結果

3. マルコ・ウィットマン(ドイツ)No.11 / BMW Team RMG
4. ブルーノ・スペングラー(カナダ)No.7 / BMW Team RBM
6. ジョエル・エリクソン(スウェーデン)No.47 / BMW Team RBM
7. アウグスト・ファルフス(ブラジル)No.15 / BMW Team RMG
8. フィリップ・エング(オーストリア)No.25 / BMW Team RMR
16. ティモ・グロック(ドイツ)No.16 / BMW Team RMR

祝祭は、終わりを告げる。レースという名のドラマは続く。

久々の栄誉に浴した者。速さを見せながらも涙を呑んだ者。それぞれの思いとともに、BMWにとって100回目のドラマは幕を閉じた。100回。それは節目ではあるが、また通過点でもある。次なる戦いはすぐそこに迫っている。わずか2週間後の9月22日(土)・23日(日・祝)、舞台はオーストリア、シュピールベルク。海抜700mに位置するレッドブル・リンクでの戦いへと、BMWは邁進する。