SUPER GT
GT300 Class
Round 6 SUGO GT 300km RACE

SUPER GT第6戦、スポーツランドSUGO。
100kgのウェイトに苦しめられるも、ランキング首位を死守。

最大のハンディを背負いながら、魔物が棲むSUGOへと挑む。

杜の都、仙台の南に位置するスポーツランドSUGOで迎える第6戦。ARTA BMW M6 GT3は51ポイントで、GT300クラスにおけるドライバー・ランキングのトップを走っている。本来の「ポイント数×2」という算出式によれば102kgとなるが、定められている最大搭載重量を超えたため、今回のレースでは上限となる100kgが科される。当然ながらすべてのマシンのなかで最も重いこのハンディを背負い、チームはアップ・ダウンが激しく、平坦な箇所がほぼゼロに近いSUGOのコースへと挑む。
9月15日(土)午前9時から行われた公式練習。事前にドライ・コンディションでのセットを作れていないチームにとっては重要なセッションとなったが、セットを詰め切れないうちに中盤から雨が降りだし、コース・コンディションがウェットへと変化してしまった。毎年波乱の多い展開となるSUGOラウンド。今年もまた、一筋縄ではいかなさそうな予感を抱きつつ、チームは午後の予選へ臨むこととなった。

ハンディ・ウェイト。コース・コンディション。逆風強く、予選はQ1敗退。

今回のレースにおけるGT300クラスのQ1は、チーム・ランキング奇数順位のチームがA組、偶数順位のチームがB組と2つに分かれて行われることとなった。これはコースの狭さと参加台数の多さを鑑みて、すべてのマシンがよりベストな環境でアタックできるように取られた措置だ。ランキング・トップのARTA BMW M6 GT3はA組でQ1に臨む。どちらの組も、タイムの上位7台がQ2へと進出する。
午後2時、Q1。午前中の公式練習に降った雨は午後になると上がり、雲の切れ間から青空も覗く空模様となった。Q1開始時点ではウェット宣言が出されたものの、レコード・ラインはほぼ乾いた状態。そのため、どのチームも迷わずスリック・タイヤを選択する。レーン出口に最も近いピットを割り当てられたARTAチームは、セッション開始と同時にいち早くショーン・ウォーキンショー選手をコースへと送り出した。ショーン選手は他車との間隔を調整し、前方がクリアな状態でアタックを仕掛ける。トップと遜色のないタイムを刻んで周回を重ねるうちにも路面はどんどんと乾いてゆき、全体の平均タイムもアップ。勝負は最後の1周になると思われた。ラスト・アタック。セクター1、セクター2と果敢に攻めるショーン選手だったが、100kgのハンディ・ウェイトを積んだマシンには、最終コーナーからホーム・ストレートへと至るきつい上り勾配はあまりにも過酷だった。結果は1分20秒068。Q2への進出はならず、23番グリッドから明日の決勝を戦うこととなった。

ショーン・ウォーキンショー選手コメント:
「残念です。公式練習でもドライ・コンディションでは苦労していましたし、ボクは雨が降ってきた後でしか走れていなかったので、とてもチャレンジングな予選になってしまいました。明日はタイヤの戦略をしっかりと組んで、少しでもポイントを獲得できるように頑張りたいです。」

高木真一選手コメント:
「雨を望んでいましたが、ドライでの予選になってしまいました。朝の走行で苦労しながらもそこそこのバランスを見つけることができていたので、ギリギリいけるかな? とも思ったのですが…。明日はポイントを1点でも獲得できるよう、チームと戦略を練りたいと思います。」

安藤博之エンジニアコメント:
「事前のテストではドライ・コンディションで走れていなかったので、公式練習ではドライのセットを進めました。バランスの改善はだいぶできたのですが、雨が降ってきてしまいました。ウェットなら予選でも良いタイムを出せる見込みがあったのですが、結局はドライになってしまったうえにハンディ・ウェイトの重さも効いてきてしまい、目標のタイムを出す事ができませんでした。」

諦めず、後方から前を見据える。我慢のレースは、最後に報われた。

9月16日(日)。前日とは一転して、朝から青空が広がったスポーツランドSUGO。スタート前の気温は26度、路面温度は37度と絶好のレース日和となった。グリッドへ並んだマシンたちは1周ずつのパレード・ラップとフォーメーション・ラップを終え、81周に及ぶ決勝の幕が切って落とされた。ARTA BMW M6 GT3のスタートを担当するのはショーン選手。まずは無難にスタートを決め、周囲の様子をうかがう。100kgものハンディ・ウェイトを乗せたマシンで、コース上のバトルのみで順位を上げていくことは無謀に等しい。チームは地道なタイヤ・マネジメントとピット戦略で、ポイント圏内への入賞を狙っていた。マシンの重量と路面温度からタイヤの磨耗が心配されたが、チームが予想していたよりもブリヂストン・タイヤのパフォーマンスは高く、この作戦を後押しした。
ショーン選手はトップ・グループのマシンと遜色のないペースでマシンをコントロールしながら、クレバーにポジションをキープ。タイトなコースを大きなアクシデントなく走りきり、24周目に高木真一選手へとステアリングを繋ぐ。高木選手は22位でコースに復帰すると、ベテランらしくいぶし銀の走りを見せ、じわりじわりと前を攻略。47周目には17位までポジションを上げてきた。しかし徐々にグリップが落ちはじめてきたため、最後までペースを落とさず走りきれるようにマシンをコントロール。タイヤを労わる走りへと切り替え、走行を続ける。このままレースが収束してゆくかと思われた61周目、ここまで鳴りを潜めていたSUGOの魔物が目覚める。GT300マシン同士の接触により1台がクラッシュ。SC(セーフティカー)が導入され、ここまで築かれたマシン同士の差はリセットされることとなった。残り7周となった74周目にリスタート。高木選手はこの段階で13位までジャンプ・アップ。さらに他車の脱落やペナルティにも助けられ、ポイント獲得まであとわずかの11位でフィニッシュ。最大ハンディを背負ったマシンとしては立派な戦績と言えた。
さらに、魔物は最後にチームへと福音をもたらした。レース終了後、7位でフィニッシュしたマシンに37秒加算のペナルティが科せられたため、ARTA BMW M6 GT3の順位は繰り上がり、10位。1点とは言え、貴重なポイントをここSUGOで獲得することに成功したのだった。

※下記のコメントは、レース終了後のペナルティが発表される前のものです。

ショーン・ウォーキンショー選手コメント:
「タフなレースで、オーバー・テイクが非常に難しかったです。でもタイヤの磨耗もそこまで悪くなく、コンスタントに良いラップを重ねることができました。ポイントこそ獲得できませんでしたが、23番手から11位までポジションを上げることができたのは大きな収穫です。」

高木真一選手コメント:
「100kgを積んだなかで、クルマやタイヤは苦しかったけど、最後まで耐えてくれて本当に良かった。前を走っているチームとはそれほど大きくペースは変わらなかったと思うし、23番手という予選順位からよく11位までクルマを持ってこられたな、と思います。ランキング上位のライバルたちがポイントを獲得できなかったこともあるので、残り2戦はチーム一丸となって、しっかりと戦っていきたいです。オートポリスではポイントを獲得し、ポイント・リーダーで最終戦のもてぎへと行きたいですね。」

土屋圭市エグゼクティブ・アドバイザーコメント:
「ランキングのトップでオートポリスに行けるのは本当に驚きだね。流れは我々の方を向いていると思っている。それをしっかりと捕まえられるように、気を引き締めて残りのレースを戦いたいね。」

難戦をしのいだチームとドライバー。ランキング首位で、九州へ。

高木選手のコメントにもあったように、今回のレースはランキングを争うライバル・チームの多くがノー・ポイントに終わったため、ARTA BMW M6 GT3の2人はドライバー・ランキングで辛くもトップの座を守った。残り2戦、シリーズはいよいよ最終局面に突入する。次戦は九州唯一の国際公認コース、オートポリス。ハンディ・ウェイトは半減され、よりスリリングなレース展開が期待される。10月20日(土)・21日(日)、BMW M6 GT3の猛々しいエキゾースト・ノートが、阿蘇の外輪山にこだまする。