DTM
Round 9 Spielberg

DTM第9戦、シュピールベルク。
通算300レースを達成するも、ポディウムへは届かず。

DTMの歴史に新たな金字塔。BMW、通算300レースを迎える。

前回、ニュルブルクリンクでのレース2においてDTM復帰100レース目を迎えたBMW Motorsport。奇しくも、続くシュピールベルクでのレース1はBMW MotorsportにとってDTM通算300レース目となる。1984年のシリーズ創設から1992年までの第1期、2012年から現在に至る第2期を合わせ、BMW Motorsportはこのシリーズにおいて多大なる成功を収めてきた。6回のドライバーズ・チャンピオン、81回の優勝、累計282回の表彰台、67回のポール・ポジション、87のレースにおけるファステスト・ラップ…。その数字のどれもが、DTMの歴史に残してきたBMWの輝かしい足跡を示している。

レース1

雨のなかのスリリングな予選。グロック、0.071秒差のフロント・ロー。

9月22日(土)、シュピールベルクは雨。レッドブル・リンクの名を冠する全長約4.3kmのサーキットは全域でヘビー・ウェットのコンディションに。全車が溝の深いウェット・タイヤを装着し、慎重にコースへと出てゆく。しかし雨がより強まり、5分が過ぎた段階で赤旗が掲示。12分ほどの中断を挟み、残り15分からセッションは再開された。残り7分半、ティモ・グロックが1分37秒215の暫定トップ・タイムをマークする。マルコ・ウィットマン、フィリップ・エング、アウグスト・ファルフスらも好タイムを出し、一時的にトップ4をBMWが占める状況に。その後各マシンがタイムを更新してゆくなか、ラスト・アタックでグロックが1分36秒142を記録。ポール・ポジションへは0秒071及ばなかったが、フロント・ローを獲得した。ウィットマンは5番手、ファルフスは7番手。13番手にエングが入り、ブルーノ・スペングラーとジョエル・エリクソンは16・17番手でレース1の予選を終えた。

最上位は7位、ほろ苦いマイルストーン。これもまた、レース。

予選の時にあれだけ強く降っていた雨はあがり、レース1の決勝開始前には、レコード・ラインはほぼ乾いていた。変化の早い山の天候が、どうレースを左右するのか。午後1時30分、それぞれの思惑が交錯するなかで、BMWのDTM300レース目となるレース1がスタートした。路面が濡れているイン側からのスタートとなったグロックはまさかの出遅れ。後続に飲み込まれそうになるも、なんとか3位で踏みとどまる。ウィットマンは4位にポジションを上げるが、鋭角のレムス・コーナーでバランスを崩し後退。代わってファルフスが7番グリッドからジャンプ・アップし、4位につける。そして後方ではエングほか3台が絡むアクシデントが発生。レースには開始早々、SC(セーフティカー)が導入されてしまう。
レースは5周目に再開。グロック、ファルフス、ウィットマンが上位につけたまま、レースは周回を重ねる。唯一ウェット・タイヤでスタートしていたエリクソンは、同様の戦略で優勝したミサノの再現はならず、6周目にピット・インを余儀なくされる。12周目にスペングラー、16周目にファルフスがそれぞれピットへ。17周目にはグロックとウィットマンがそろってピットへと向かい、エング以外のBMW勢はレース半ばでルーティンのピット作業を済ませた。グロック、ウィットマンはピット・アウト後、6台で実質の3位を争うこととなる。この争いは10周以上に渡って続くが、33周目、この集団からグロックが突然のマシン・トラブルで脱落。グロックは、パワーを失ったマシンをコース・サイドに停めるしかなかった。このトラブルにより再度SCが導入。レースは残り2分、35周目にリスタートを迎えるが、混乱のなかでウィットマンは3位から7位まで順位を落としてしまった。目の前まで迫っていたポディウムを失ったウィットマンはそのまま7位でフィニッシュ。8・9位にエングとファルフスが続いた。エリクソンは15位、途中でストップしたグロックは17位完走扱いとなった。また、序盤の接触によりダメージを負ったスペングラーは終盤ピットへとマシンを入れ、最後まで走りぬくことができなかったが、こちらも18位で完走扱いとなった。しかしBMWにとっては悔いが残る、なんともほろ苦い結果となってしまった。

イェンス・マルクヮルト(BMW Motorsport ディレクター)
「残念ながら、300回目となるDTMのレースで、期待していたような結果を記録することはできませんでした。私たちは今日、もっと上手く事を運べたはずです。とはいえ、今回はBMWにとって大切な、記念すべき2つ目のレースでした。2週間前にはニュルブルクリンクで復帰100回目となるレースが行われたばかりです。このことはまさに、私たちがこのシリーズとどれだけ密接な関係を築いているかを示しています。1984年以来、DTMとBMWはツーリングカー・レースにおいて長い成功の歴史をともに歩んでいます。ドア・トゥ・ドアのスリリングな一騎打ち、世界最高峰のツーリングカー・ドライバーたち、ファンとの深い絆。それは最初期の頃から変わりません。」

マルコ・ウィットマン(No.11 BMW Driving Experience M4 DTM)
「ゴール直前のSCによって、ポディウムへと上るチャンスは打ち砕かれてしまった。タイヤにかなり深刻なグレイニング(=均一に摩耗せずささくれのような状態になること)が起こり、リスタート後にポジションを守ることは至難の技だった。SCさえなければ3位をキープできたかもしれないけど、残念だよ。」

ティモ・グロック(No.16 DEUTSCHE POST BMW M4 DTM)
「当然ながら、2番手からスタートしてリタイヤでレースを終えることは残念でならない。ピット・ストップ後にフロント・タイヤが異様に熱を持ってしまったため、ブレーキ操作を誤り順位を下げてしまった。そのあとは快調に走行を続けていたけれど、今度はリヤ・タイヤがひどく劣化し始め、続いてエンジンの異常を知らせる警告が表示されたと思ったら、パワーを失ってしまったんだ。それですべてが終わってしまったよ。」

レース1 決勝結果

7. マルコ・ウィットマン(ドイツ)No.11 / BMW Team RMG
8. フィリップ・エング(オーストリア)No.25 / BMW Team RMR
9. アウグスト・ファルフス(ブラジル)No.15 / BMW Team RMG
15. ジョエル・エリクソン(スウェーデン)No.47 / BMW Team RBM
17. ティモ・グロック(ドイツ)No.16 / BMW Team RMR
18. ブルーノ・スペングラー(カナダ)No.7 / BMW Team RBM

レース2

上がらぬペースに苦しみながらも、エリクソンが光る走りを見せる。

翌9月23日(日)。レッドブル・リンク上空には雲があり、ピット・ロードなどは濡れているものの、コース上はドライ・コンディション。各マシンはスリック・タイヤを装着し、アタックへと出て行った。このセッションでまず速さを見せたのは、今シーズンBMW史上最年少のDTMウィナーとなったジョエル・エリクソン。開始5分を過ぎる頃に1分26秒659の暫定トップ・タイムを記録する。続いて昨日は不完全燃焼に終わったブルーノ・スペングラーが1分24秒999を出し、エリクソンのタイムを塗り替える。その後一旦ピットへと全車が戻り、ラスト・アタックは残り5分から。他のマシンがタイム・アップを果たしてゆくなか、BMW勢は12番手のファルフスを最上位として下位に固まってしまう。しかし、ラスト30秒から続々とタイムを出し始め、エリクソンとティモ・グロックは6・7番手にジャンプ・アップ。フィリップ・エングが10番手に入り、スペングラー、ファルフス、マルコ・ウィットマンは15〜17番グリッドを獲得。午後のレースへと臨むこととなった。

トップ10に3台を送り込むも、最後まで消化不良のレッドブル・リンク。

午後1時30分、顔を覗かせた太陽に照らされながらマシンはグリッドに着き、レース2の決勝がスタートした。エリクソンは1周目に1台をパスし5位へ。他のBMW M4 DTMも混乱に巻き込まれることなく周回を重ねてゆく。6周目にウィットマン、14周目にエリクソンがピットへ。16周目、11位を争っていたファルフスのマシンが突如メカニカル・トラブルに見舞われ戦線離脱。ファルフスはマシンをコース・サイドへと停めざるを得ず、昨日のグロックに続き2日連続のリタイア劇となってしまった。
17周目にグロックとスペングラー、22周目にエングがピット・イン。レースは淡々と進み、39周目に規定の55分を消化。エリクソンがスタート後のポジションを守りきり5位。今季3度目となるトップ5フィニッシュを果たした。7位にグロック、9位にエング。この週末はツキがなかったウィットマンとスペングラーは、13・14位で、レッドブル・リンクにおけるシュピールベルク・ラウンドを終えた。

バート・マンパイ(BMW Team RBM チーム代表)
「ジョエルにとっては良いレースでした。スタート後も、予選で得たポジション以上の位置を守ることができました。ピット・ストップも見事にこなしたチームとジョエルに賛辞を送ります。母国でのレースとなったフィリップもポイント圏内でゴールしたので、チームとしては良い結果を残せました。しかし、我々は速さのよりいっそうの向上に取り組まなければなりません。」

フィリップ・エング(No.25 SAMSUNG BMW M4 DTM)
「自分のスピードについてはとても満足しているよ。ニュルブルクリンク以来、レース中のタイヤ・マネジメントを向上させようとチームと重ねてきた努力も、今回しっかりと報われた。唯一残念だったのは、他にどうすることもできなかった状況下での他車との接触に、ペナルティを科されてしまったことだ。残念だよ。」

ジョエル・エリクソン(No.47 BMW M4 DTM)
「今日はチャンスを最大限に活かせたと思う。タイヤ・マネジメントを最適に保つことは簡単ではなかったけど、今回のレースでは上手くいったかな。チームのためにもポイントを獲得できたので、満足しているよ。」

レース2 決勝結果

5. ジョエル・エリクソン(スウェーデン)No.47 / BMW Team RBM
7. ティモ・グロック(ドイツ)No.16 / BMW Team RMR
9. フィリップ・エング(オーストリア)No.25 / BMW Team RMR
13. マルコ・ウィットマン(ドイツ)No.11 / BMW Team RMG
14. ブルーノ・スペングラー(カナダ)No.7 / BMW Team RBM
-. アウグスト・ファルフス(ブラジル)No.15 / BMW Team RMG

泣いても笑っても、残るは2レース。最も激しく、最も熱いフィナーレへ。

極端に悪いわけではないものの伸び悩み、打開点を見出せなかったシュピールベルクでの週末を終え、BMW、そしてDTMは、今シーズン最後の戦いへと向かう。最終戦の舞台は開幕戦と同じ、ふたたびのドイツ、ホッケンハイム。10月13日(土)・14日(日)、今年最後の、そして今年もっとも熱くなるであろうDTMの戦いへ。6人のドライバーと6台のBMW M4 DTMは万難を排して臨む。