DTM
Round 10 Hockenheim

DTM最終戦、ホッケンハイム。2レース連続の表彰台、
そして全車入賞で、2018年シーズンを締めくくる。

惜しまれつつ去る者と、新たなる挑戦者。DTMの歴史は、動き続ける。

10月11日(木)、今シーズン最後の戦いに先んじて、2019年シーズンから新たなコンストラクター、アストンマーティンの参戦が発表された。DTMへは初の参戦となるが、これまで数々のGTレースで確かな実力を見せている相手だけに、油断はできない。そしてその一方で、1986年から長きにわたりDTMへと参戦し続けてきたメルセデスが、このホッケンハイム・ラウンドをもってDTMでの活動を終了する。これまで幾度となく火花を散らし、健闘を称え合った好敵手。最後まで手を緩めることなく戦いぬくことが、BMWから彼らへの最大の敬意であることを、チームの面々はよく知っている。

レース1

マシン・トラブル、ペナルティ…。歯車が上手く噛み合わない予選。

5月の開幕戦から5カ月。DTMはふたたび、ホッケンハイムへと戻ってきた。今シーズン最後の戦いは、いつもと同じように静かに始まってゆく。10月13日(土)、天気は快晴。午前10時55分、レース1の予選がスタートした。各マシンはコースへと出て行くが、マルコ・ウィットマンのマシンだけがピットへと留まっている。この日朝のフリー走行でコースアウトし、マシンを傷めてしまったのだ。メカニックたちは必死に修復を試みるが、状況ははかばかしくない。ウィットマンはピット脇で、ただそれを見守るしかなかった。
アウディ、メルセデスのマシンたちが次々とタイムを出すなか、6台のBMW M4 GT4はセッションが7分を過ぎた頃からアタックを開始してゆく。9分が経過する頃、ティモ・グロックが開幕戦での調子を取り戻したかのように、1分32秒974を記録。続いて朝のフリー走行でトップ・タイムを記録したジョエル・エリクソンも、0秒068差で続いてゆく。ここで一旦全車がピットへと下がり、残り4分を切る頃に各車ふたたびコース上へ。グロックはラスト・ラップで1分32秒751までタイムを伸ばすが、3番手に留まった。しかしその後、警告累積のため5グリッド降格のペナルティが科され8番手へ。そして7番手タイムを出したフィリップ・エングも同様のペナルティで12番手スタートとなってしまった。4番手にアウグスト・ファルフス、10・11番手にエリクソンとブルーノ・スペングラーが入り、マシンの修復が間に合わなかったウィットマンは予選を走ることなく、決勝はピットからのスタートとなってしまった。

波乱と混乱のなかで。ティモ・グロック、13レースぶりの表彰台を獲得。

午後1時30分、レース1はスタートの時を迎えた。スタート直後の1コーナーでファルフスは1台をかわし3位へ。不本意な形で後方からのスタートとなったグロック、そしてウィットマンもそれぞれ1台をかわし、前をうかがう。8周目、グロックはファルフスをパスし3位に浮上。鬱憤を晴らすかのように前を追う。12周目にエリクソンが、16周目にグロックとスペングラーがピットへ。グロックはピット・アウト後に、開幕戦のレース2を彷彿とさせるサイド・バイ・サイドのバトルをポール・ディ・レスタ(No.3 Mercedes-AMG Motorsport REMUS)と展開、これを攻略。良いペースのまま周回を重ねてゆく。20周目にエング、21周目にウィットマンがルーティンのピット・ストップを消化。順調にレースが進んでいたと思われた25周目。17周目にピットへと入ったファルフスのBMW M4 DTMから、何の前触れもなく突如左のドアが吹き飛んでしまう。6位を走行していたファルフスはこれで再度のピット・インを余儀なくされてしまい、そのまま戦線を離脱。せっかくの上位フィニッシュのチャンスをフイにしてしまった。このアクシデントによりコース上にはSC(セーフティカー)が導入。28周目のリスタートで、グロックは3位へと返り咲く。その直後の29周目、今度はウィットマンが土埃だらけのマシンをコース・サイドにストップさせた。前を走るディ・レスタが巻き上げた土煙を背後でまともに浴びてしまい、メカニカル・トラブルを誘発してしまうというなんとも不運な幕切れ。このレース、ウィットマンには運が味方しなかったと言うしかない。レースが残り4分を切った31周目、グロックは前を行くゲイリー・パフェット(No.2 Mercedes-AMG Motorsport PETRONAS)を攻略し2位へ。このままゴールへ飛び込むかと思われたが、ファイナル・ラップでロビン・フラインス(No.4 Audi Sport Team Abt Sportsline)にパスされ3位に。それでも第3戦ハンガロリンク以来となる久々の表彰台を獲得した。9位にスペングラー、12位にエング、15位にエリクソン。ウィットマンとファルフスは16・17位でそれぞれ完走扱いとなった。

ステファン・ラインホルト(BMW Team RMG チーム代表)
「レースが始まる前から、ティモは追い上げるだろうと言っていました。マルコやアウグストも含め、我々のチームは非常に良いペースで走れていたのです。マルコは不運に見舞われてしまいましたが、マシンを限界まで攻めている時にはこういうことも起こり得ます。アウグストも序盤は良いレースをしていましたが、なぜ彼のマシンのドアがレース中に外れてしまったのか、早急に原因を調べなくてはなりません。何が起こったにせよ、残念です。」

アウグスト・ファルフス(No.15 Shell BMW M4 DTM)
「出だしは非常に好調で、トップのマシンと同じペースを刻むことができた。ピット・ストップを終えた後も、良いレースをできていると自分で思えていたんだ。そうしたら突然、ドアが吹き飛んだ。直前に何かにぶつかったわけじゃない。本当に突然、吹き飛んでしまったんだ。」

ティモ・グロック(No.16 DEUTSCHE POST BMW M4 DTM)
「ホッケンハイムは僕にとってリビングみたいなものだし、僕らのマシンとも相性がぴったりだ。今日もそうだった。セーフティカー・ランが終わった後に、ニュー・タイヤを履いたロビンに立ち向かうチャンスがなかったのは残念だけど、全体として良いレースができたと思う。レネ(・ラスト)の5連勝に心からおめでとうと言いたい。すごいね。まさに偉業だよ。」

レース1 決勝結果

3. ティモ・グロック(ドイツ)No.16 / BMW Team RMR
9. ブルーノ・スペングラー(カナダ)No.7 / BMW Team RBM
12. フィリップ・エング(オーストリア)No.25 / BMW Team RMR
15. ジョエル・エリクソン(スウェーデン)No.47 / BMW Team RBM
16. マルコ・ウィットマン(ドイツ)No.11 / BMW Team RMG
17. アウグスト・ファルフス(ブラジル)No.15 / BMW Team RMG

レース2

雪辱。マルコ・ウィットマン、今シーズン初のポール・ポジション。

10月14日(日)。DTMの2018年シーズンは、この日をもって幕を閉じる。前日と変わらぬ晴天に恵まれたホッケンハイム・リンクで、最後の予選が始まった。この日も、6台のBMW M4 DTMはライバルたちに比べ遅めにタイミングをずらしてアタックを始めてゆく。セッションが折り返しの10分を経過する頃、マルコ・ウィットマンが暫定トップ・タイムに肉薄する1分32秒967をマーク。その後各マシンはピットへと戻り、セッションが残り6分を切る頃からラスト・アタックへと出撃してゆく。残り1分、ジョエル・エリクソンがウィットマンを0秒02上回り暫定2番手へ。さらにブルーノ・スペングラー、アウグスト・ファルフスといったベテランがエリクソンのタイムを上回っていく。だが昨日のウィナー、レネ・ラスト(No.33 Audi Sport Team Rosberg)が記録したトップ・タイムへは届かない。残り20秒。ウィットマンがホーム・ストレートを駆けぬける。1分32秒683。1mも走れなかった昨日とは一転、鮮やかにポール・ポジションを奪ってみせた。4・5番手にスペングラーとファルフス、7・8番手にエリクソンとフィリップ・エングが入った。ティモ・グロックも10位と、トップ10圏内に滑り込んだ。

終幕は、鮮やかに。ウィットマン、昨年に続き最終戦をポディウムで祝う。

まるでこの最終戦を祝福するかのように、崩れる気配すら見せない天気。レース2決勝も雲ひとつない空のもと、各マシンが最後のグリッドへと並ぶ。午後1時30分。シグナル、オール・ブラック。アウディ、メルセデス、そしてBMWによる、DTM最後の戦いの幕が切って落とされた。スタートでウィットマンは、2番グリッドから飛び出したラストに先行を許してしまう。3番手にはゲイリー・パフェット。いずれもDTMチャンピオン経験者である3人が、序盤は僅差で手に汗握る戦いを続ける。
12周目にスペングラーがピットへ。ピット・レーン出口で危うく他車と接触しそうになるも、すんでのところで回避。無傷で戦列へと復帰する。翌13周目にはエリクソンとグロック、上位3台のうち最後までタイミングを待ったウィットマンは17周目にピット・イン。コースへと戻るが、パフェットの後ろ、実質3位とポジションをひとつ落としてしまう。しかし22周目のヘアピンで、ウィットマンはパフェットをかわし2位へと復帰。同じ周にファルフスがピットへと入り、BMW勢は他のメーカーに先駆けてすべてのマシンのピット・ストップを終わらせた。その後は大きな波乱なくレースは進み、36周目に55分を経過しフィニッシュ。ウィットマンは殊勲の2位表彰台を獲得し、有終の美を飾った。6〜10位にスペングラー、ファルフス、エング、エリクソン、グロック。早めのピット・ストップも功を奏し、BMW M4 DTMは2018年最後のレースを、6台すべてが入賞という結果で終えた。

イェンス・マルクヮルト(BMW Motorsport ディレクター)
「マルコがポディウムへと上がり、BMWドライバー全員がポイントを獲得。良い形で、今年のDTMシーズンを締めくくることができました。2018年、我々のチームは全体を通して良いポジションをキープできていました。6人のドライバー全員が一度はポディウムへと登り、4度の優勝を経験しました。開幕戦でのティモとゲイリーのつば迫り合い、地元ノリスリンクでついに勝ったマルコ、そしてミサノでの、あの忘れがたいアレックス(・ザナルディ)の活躍。2018年のDTMは、まさにこうあるべき、というレースの連続でした。今はメルセデスとゲイリーの戴冠を素直に祝いたいと思います。そして、我々は来たる2019年シーズンを心待ちにしています。新たなマシンで、新たなライバルとともに。そしてもちろん、今シーズンと同じ情熱を持って、レースに臨みます。」

バート・マンペイ(BMW Team RBM チーム代表)
「昨日のレース後、我々は予選でひとつでも前のグリッドを獲得できるよう、マシンのセッティングに細心の注意を払いました。BMW M4 DTMのドライバー全員がポイント圏内でフィニッシュ。難しいシーズンにしては、良い終わり方だったと思います。我々のチームから参戦した2人のDTMルーキーは、このシーズンを通じて大きく成長しました。私は、このチームを誇りに思います。」

マルコ・ウィットマン(No.11 BMW Driving Experience M4 DTM)
「2位になれて本当にうれしいよ。昨日はこれでもか、という程に散々だったからね。チーム・スタッフは素晴らしい働きをしてくれたし、僕はポール・ポジションを獲ってみんなに感謝を返すことができたと思う。シーズンの最後を表彰台で終えられたことに、満足しているよ。」

レース2 決勝結果

2. マルコ・ウィットマン(ドイツ)No.11 / BMW Team RMG
6. ブルーノ・スペングラー(カナダ)No.7 / BMW Team RBM
7. アウグスト・ファルフス(ブラジル)No.15 / BMW Team RMG
8. フィリップ・エング(オーストリア)No.25 / BMW Team RMR
9. ジョエル・エリクソン(スウェーデン)No.47 / BMW Team RBM
10. ティモ・グロック(ドイツ)No.16 / BMW Team RMR

季節は過ぎ、また巡りゆく。2019年に向け、BMWは走り出す。

2018年のDTMが、幕を閉じた。BMWは623ポイントを獲得し、マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップでは2位となった。そしてフィリップ・エングは104ポイントを獲得し、見事ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
2019年のDTMは、今年より1ラウンド少ない全9戦18レースで行われることが既に発表されている。そしてマシンも、日本のSUPER GTと共同で策定してきた「クラス1規定」に完全準拠するマシンとなる。それに伴い、チャンピオンシップとは別にSUPER GTとの交流戦も予定されるなど、シリーズは大きな転換点を迎える。2019年5月。DTM、そしてBMW Motorsportの新たなる歴史は、ふたたびここ、ホッケンハイムから始まる。